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今回紹介する書籍は大前研一氏の『お金の流れが変わった!』です。
レビュープラス様よりご提供いただきました、ありがとうございます。

概要


アメリカだ、中国だと右往左往しているあいだに、世界経済のルールは一変していた。
世界をさまよう四〇〇〇兆円の「ホームレス・マネー」がいま、大挙して新興国へと向かい繁栄の種子を蒔いている。
お金の動きをいち早く読み、日本がふたたび大発展するための戦略を語る。


目次


第1章 超大国「G2」の黄昏
Ⅰアメリカ―「唯一の大国」はいかにして崩壊したのか
Ⅱ中国―バブル崩壊はいつやってくるか

第2章 お金の流れが変わった!
Ⅰ「ホームレス・マネー」に翻弄される世界
ⅡEU―帝国拡大から防衛へのシナリオ
Ⅲ新興国―二十一世紀の世界経済の寵児

第3章 二十一世紀の新パラダイムと日本
Ⅰマクロ経済政策はもう効かない
Ⅱ市場が日本を見限る日)

第4章 新興国市場とホームレス・マネー活用戦略
Ⅰ新興国で成功するための発想
Ⅱ日本経済再成長の処方箋


ポイント


アメリカの経済成長に陰りが見えているのは周知の事実、そして勢いづいている中国も爆弾をかかえており、今後どうなるかわからない状況。
そんななか今注目を浴び、世界の投資マネーを集めているのは”新興国”なのです。

BRICsは有名ですが、それに加えVITAMIN(ヴェトナム・インドネシア・タイとトルコ・アルゼンチンと南アフリカ・メキシコ・イランとイラク・ナイジェリア)も注目すべきと述べられています。


そのような世界情勢の中、日本はどうすればいいのか。
興味深かったのは、日本経済再成長の処方箋としての大前氏の提案です。
切れ味鋭く、大胆かつ論理的に述べられていて、夢中で読んでしまいました。


まずは税制について。
消費税を15%に引き上げたとしても、年間25兆円にしかならず大きな効果は期待できないし、法人税率を5%下げて所得税を上げる民主党の政策も批判しています。

私にいわせれば、所得税率は上げるのではなく、むしろ下げるべきだ。
所得税率を下げて税収が減った国などない。
~中略~
理由は簡単で、正直に申告しようとする者が増えるからだ。
金持ちの手元に現金が多く残れば、彼らが消費を牽引するという効果もある。


例として挙げられているのが、ロシアとインドネシア。
ロシアでは正直に申告すれば所得がいくらであっても13%の税率ですむようにし、税収が2年連続で25%増えたそうです。
インドの例はもっと大胆で、「海外等に隠している資産を年度中に申告した場合、過去は不問にする」としたところ、税収が2倍になったとの事です。

今の日本の財政再建にはこれぐらい大胆な方法が必要なのかもしれません。


また、期間を区切って相続税を免除するという施策も提案されています。

日本も五年なら五年と期間を定めて相続税を撤廃することで、高齢者に過剰に貯まって不動化している資産が一気に流動化し、若い世代が消費に向かうので、経済は活性化するにちがいない。


実際アメリカは2001年から段階的に相続税率を下げ、2010年はゼロにしており、イタリアやオーストラリアも同じような施策を実行しています。
莫大な個人貯蓄を抱える日本にとっては、このような方法も効果を発揮するのではないでしょうか。


もうひとつ面白かったのが、「シャッター街を活性化させる方法」です。
さびれてしまっってシャッター街と化してしまった、商店街を株式会社するというのです。

・株の3分の2を売り出し、それを商店街の開発業者に買い取ってもらう。
・事業者は人々が集まる商店街にするにはどうするか、その方法を徹底的に考える。
・商店街の人たちは3分の1の株を持っているから提案に対して拒否権を行使できるし、上場したタイミングで株を売れば大きな利益を得ることもできる。

商店街というものは衰退していく一方だと思っていたのですが、本書を読んで考えが変わりました。
このような問題にしても、発想を変えればまだまだ成長の余地はありそうです。



世界に目を向けざるを得ない思考に一気に持って行かれる本書。
「自分が日本経済をどうこうできるものでもないし」と思わずに、選挙の判断材料や、議論のネタに、またこれからの自分の目標設定に役立ててはいかがでしょうか。

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