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1on1(ワンオンワン)という言葉をご存知でしょうか?

主に上司と部下が1対1で行うコミュニケーションの技法のことで、ヤフーは1on1の活用に力を入れている企業の1つです。そのヤフーの人事トップである本間浩輔氏が、1on1のノウハウを1年がかりでまとめたのが今回ご紹介する書籍「ヤフーの1on1」です。

上司・部下のコミュニケーションに課題を感じている方や、これから1on1を導入しようと考えている方にとっては非常に有用である本書、以下にそのポイントをまとめます。


目次


第1章 マンガで学ぶ1on1ミーティングの基本
第2章 1on1とは何か
第3章 1on1における働きかけ
第4章 1on1導入ガイド
第5章 ヤフーが人財開発企業を目指す理由


1on1とは何か


・1on1とは
社員の経験学習を促進し、社員の才能と情熱を解き放つことで成長させることを目的とする、人材育成のツール

・経験学習とは
経験学習とは経験から学ぶことに重きを置く人材育成の方法で、経験を学びに換えて、次の仕事経験に活かしていくという考え方。
単に経験すれば良いというものではなく、下記のように経験を学習に変換するアクション(振り返り)が必要であり、それが1on1である。
具体的経験 → 内省(振り返る) → 持論化(教訓を引き出す) → 新しい状況への応用(持論・教訓を活かす)

・才能と情熱を解き放つ
仕事や仲間からの支援をきっかけにして自らの才能に気づき、自らのエネルギーが溢れ出す情熱を解き放つような仕事をする。そのためには、色々な仕事を経験し、上司や職場の仲間から観察してもらい、経験を振り返りながら自分の職業観について考えることが大切。

・1on1の効果
定期的かつ対話に集中できる環境でコミュニケーションを行うため、部下にとっては相談や評価をタイムリーに受けることができ(MBOの中間評価など)、上司は部下について多くの情報を得ることができる(ビジョンや指示が浸透しているか等)


1on1の基本


・部下に十分に話をしてもらう
部下は自分の経験を思い出して、言葉にして、深く内省することが必要である。
そのためには、部下自らが十分話すことが大切。

・話は最後まで聞く
部下の言葉を先取りしたり遮ったりすることは、1on1を部下のための時間にするという目的からすると最も避けねばならないことである。

・上司は先に自分の考えを言わない
上司と異なる見立てを持っていたとしたら、部下はそれを表明しづらくなる。
良い悪いの判断は避け、部下の思いや考えを深めるための問いかけをするべき。

・上司依存の関係にしない
否定はNGではないが上手くやらないと、部下は上司の指示を待つようになる。
自分の意見や評価を加えず、ニュートラルな表現や言い換えを使って、部下の考えを深めていく。

・行動で終わる
問題の本質が見えてきたら、次の行動=問題への対処を明確にする。
その際、次の行動は上司が示すのではなく、部下が自ら思いつくことが大切である。


1on1における働きかけ


・信頼関係を構築する2つの手段
「アクティブリスニング」はうなずく、相槌を打つ、相手が発したキーワードを繰り返す等の行動により、積極的に話を聞きにいくということ。
「レコグニション」は部下の存在を認め、部下のありのままを受け止める、そしてそれを相手がわかるように伝えること。

・学びを深化させる3つの働きかけ
コーチング:部下が自力で答えを見つけるためのサポート
ティーチング:知識や技術を知っている人から知らない人に教える行為
フィードバック:耳の痛いことをしっかり伝え、成長を立て直す
この3つを上手に使い分け、学びを深化させる。

・次の行動の決定
この学びを次にどこで活かすのかを宣言する。行動計画が守られなかった場合は非難せず「なぜできなかったのだろう」と問いかける。

マインドマップ


ヤフーの1on1


感想&考察


マンガによるケーススタディー、FAQ(時間の確保が難しい、特に話すことはない・不要だと言われる等の質問に対する回答例)、ヤフー社員へのインタビュー、コミュニケーションの専門家との対談など、色々な切り口で1on1を紹介しており、1on1を知らなかった人や導入しようとしている人、導入したけれどもうまくいっていない人など、様々な境遇において参考になるように作られています。

私はある程度研修を受けたり独学で学んでいたりはしていましたが、今回改めてこのように体系的にまとめられた本を読み、まだまだ改善の余地は大きいと実感しました。

コミュニケーションの方法に正解はありませんが、ほんの少しの心がけで驚くほど相手に与える印象は変わってくるもの。明日からでも実践できる様々なノウハウが詰め込まれているので、まずは1つでも試してみてはいかがでしょうか。

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