サーカー漫画「ジャイアントキリング」に学ぶチームビルディング
16/01/24
”サッカー監督”が主人公の漫画「ジャイアントキリング」をご存知でしょうか?
ジャイアントキリングとは元々は「番狂わせ、弱者が強者を倒す」という意味で、スポーツの試合でよく使われる言葉です。
この漫画ではサッカー監督の主人公が、弱小チームを率いてライバルを次々に倒していくストーリーが描かれています。さて、そう聞いてみなさんはどのような監督をイメージされるでしょうか?
情熱的で信頼が厚く、選手間の和を尊重し、明確な戦略を示して選手を導いていく。
もしそんなイメージを持たれたのならば大ハズレです。
戦略を指示するどころか着任早々のキャンプでいきなり「自習」と言い出し去ってしまう始末、選手は混乱しチームはバラバラに、、、
このように一見すると不可解な行動を取るのですが、実はチームビルディングの視点ではこれが正解だったりするのです。
今回はこのジャイアントキリングをチームビルディングの観点から読み解いた本今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則――『ジャイアントキリング』の流儀をご紹介したいと思います。
「プロジェクトチームがうまくかみ合っていない」「指示待ちで、言われたことしかやってくれない」「自分の右腕が育たない」「メンバーの温度差が激しい」など、チーム作りに悩みを抱えているビジネスパーソンにおすすめの一冊です。
私もそうだったのですが、今までジャイアントキリングを読んだことがない人でも十分理解できる内容になっておりますのでご安心ください。
概要
カリスマ的リーダーやエースがいなくても、今いるメンバーで大金星を挙げられるチームの普遍的シナリオを、大人気マンガ『ジャイアントキリング』の名場面をケーススタディとして活用しながら、主に経営者、チームリーダー、ビジネスパーソン向けに語る
目次
第1章 新チーム始動――ステージ1 フォーミング
「何でも思いどおりにいって何が楽しいよ。俺が楽しいのは、俺の頭ん中よりスゲーことが起こった時だよ」
第2章 巻き起こる嵐――ステージ2 ストーミング
「どうせ家建てんならじっくりいい家作んなきゃ」
第3章 チームワークの誕生――ステージ3 ノーミング
「組織として差が出るのは、個々がどれだけ役割以上のことが出来るかだよ」
第4章 生き物みたいなチーム――ステージ4 トランスフォーミング
「勝ちたがってんなら、その想いをケンカしてでもすり合わせりゃいい。そうすりゃ相手の考えがわかる。それが次々広がって、チームっていうひとつの生き物になる」
ポイント
1. 「グループ」が成長して「チーム」になる
チームづくりはジグソーパズルに似ている。
1.まず、ピースの形や色、模様で分類して、ざっくり並べる(仮置き)
2.次に、ピースの凸凹を組み合わせる作業を進めていく
しかし現実には1のステップで止まっている組織が多い、これが「グループ」である。2は凸凹がピッタリはまる組み合わせを探すために、ガチャガチャとピースをぶつけ合う。そうすると全体のパフォーマンスが下がるので、多くのリーダーや組織はそれをやろうとしない。
しかし、ガチャガチャやって凸凹がピッタリはまった時に初めて、「グループ」は「チーム」に成長し、それまでは考えられなかたような「期待値を超える」パフォーマンスを発揮できるようになる。
2. チームの4つのステージを知る
チーム形成のプロセスはフォーミング(形成期)、ストーミング(混乱期)、ノーミング(規範期)、トランスフォーミング(変態期)の4つに分けられる。
フォーミング:グループが結成されたばかりで、互いのことも何をするかもよくわかっていない
ストーミング:対立・衝突が起こり、感情的にモヤモヤ・イライラする。生産性が低下する
ノーミング:チームの行動規範が築かれていく。役割と責任範囲が明確になる
トランスフォーミング:チームが一つの生き物のように機能する。大きな成功体験を共有する
最終段階まで到達するにはストーミングは必要不可欠なものであり、避けて通れるものではない。ストーミングを恐れてフォーミング段階にとどまっている限り、ジャイアントキリングを起こせるチームには成り得ない。
3. チームワーク7つの力
チームワーク7つの力として1.1力、凸凹力、予測力、アシスト力、気づき力、面白化力、三方良し力がある。
アシストとは他人の仕事を手伝うことであり、チームワークの始動スイッチである。アシストが効いているチームは「自分の仕事をやりきること=他人の仕事を手伝うこと」になっている。「自分の仕事」と「他人の仕事」と言ってしまうと明確な境界線があるように思うが、リレーのバトンタッチゾーンのように重なりを持たせることが重要。アシスト力が発揮されると、組織としての活動すべてが「自分ごと化」されていく。
マインドマップ
まとめ
私もそうなのですが日本人は特に争いを避けたがる性質があると言われています。「空気を読む」「和を尊ぶ」「自己主張をしない」「遠慮する」これらが大事な場面もありますが、行き過ぎるといつまでも「グループ」から抜け出せず、ジャイアントキリングを起こす「チーム」となることができません。
このことを理解した上で、「あえて混乱を巻き起こす」「混乱が自然発生した際に無理に沈静化させようとしない」という行動が取れれば、チームへ脱皮する一歩を踏み出せるでしょう。
このようにチームビルディングに役立つノウハウが満載の本書は、社会人になりたての若手からマネジメントの立場にいる方まで、幅広く活用できるかと思いますのでぜひご一読ください。
漫画の方も面白いので、ご興味を持たれた方はこちらもぜひ読んでみてください。サッカーのことをよく知らない人でも十分楽しめると思います。
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