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サッカー日本代表戦サッカー日本代表戦 / ysakaki


みなさんは、プロサッカー選手の長谷部誠さんをご存知ですか?

南アフリカワールドカップにてキャプテンを務められていたので、サッカーファンならずとも多くの日本人に知られている選手だと思います。
しかし、どういったプレーでいつどのように活躍したか答えられる人は、多くはないのではないでしょうか。

本田選手、遠藤選手のフリーキックの場面や、川島選手が必死に相手選手のシュートを止めているところはテレビで何回も放送されていましたが、長谷部選手の活躍シーンは私が覚えている限りでは見かけませんでした。

今回はプロサッカー選手初の自己啓発書「心を整える。」をご紹介させていただきますが、この本を読むといかに長谷部選手がチームに貢献していたかがわかると思います。
といっても「俺はこんなに頑張っていたんだ、すごいだろ」という内容ではもちろんなく、長谷部選手が普段から心がけている56の習慣を紹介する内容になっています。

私はこの本を読んで長谷部選手の偉大さに初めて気づきました。
そして長谷部選手のキャプテンとしての振る舞いから「今リーダーに求められている習慣」を感じ取ることができました。

その中で、私が特に心に残った3つの習慣について紹介したいと思います。


グループ内の潤滑油になる


チーム全体で共有したいことがあった場合、監督から伝えるのが基本ですが、選手から伝えてもらった方がいい場合もあります。
その時に中心となるのが長谷部選手で、自身でこのように語っています。

自分は前へ前へ出て行くタイプじゃないけれど、一人ひとりのところに行って、情報を伝達したり、共有するのは苦手じゃないかもしれない。
これからもチームのために役に立てるなら、いつでもグループ内の伝達役になるつもりだ。


ワールドカップの際、試合前の国会斉唱の時に皆で肩を組む印象的なシーンがありましたが、それは長谷部選手が皆に伝え回ったそうです。ゴールを決めたあとベンチに走りよって、サブの選手たちと喜びを分かち合うという習慣も同じです。
ワールドカップは素人目で見ていても、チームに一体感がある事が見てとれました。長谷部選手がキーパーソンとなって、それは実現できたのです。

ビジネスの現場でも「部長から言うより、チームリーダーから伝えていった方がいいな」といった場面はあるかと思います。その時に重宝するのが、長谷部選手のような人物なのではないでしょうか。


組織の穴を埋める


長谷部選手は、華麗なフリーキックや素早いドリブルなどの一目でわかるような武器はありません。そんな長谷部選手の強みのひとつが「組織に足りないものを補うこと」です。

中盤から攻める選手がいたら、自分は中盤に留まって相手のカウンターにそなえる。みんなが疲れてきて動きが落ちてきたなと思ったら、人の分までカバーして走る。
海外リーグで生き残っていくために、自分の良さをピッチで表現したいという欲やエゴより、組織の成功を優先してきた。


そんな長谷部選手に対して、「自分らしさを消して、我慢しているのでは?」「もっと攻撃的なプレーをすべきだ」という声もあるそうです。しかし、「自分を殺すこと」と「自分を変えること」は違うんだと、本書に書かれています。

焦らず我慢して継続すれば、いつか「組織の成功」と「自分の成功」が一致する。それを目指しているのであれば、組織のために自分のプレーを変えることは自分を殺すことではなくなる。
チームの穴や業界の穴を分析し、誰よりも早くその穴を埋めていく。そうすれば、誰もが気がついてくれるわけじゃないけれど、必ず見てくれる人はいる。


もちろん前へ前へ出て行く選手も必要だとは思います、しかし全員がそうだとまとまるはずがありません。長谷部選手は全体を見回して「穴」を見つけ、それを補うのです。それは目立たない事ではありますが、次第に「あいつがいるからうまく回っているのだ」という評価につながります。
これは会社組織にもあてはまるのではないでしょうか。チームリーダーはメンバーの強み弱みを把握して、足りない所を補う。そうする事によりチームのパフォーマンスが上がり、結果的には自分の評価にもつながる。それは自分を殺すのではなく、生かす事につながります。


常に最悪を想定する


南アフリカワールドカップのパラグアイ戦でPKの負けが決まった瞬間、本田選手はうずくまり、長友選手は顔をゆがませ、中村選手は呆然としていました。そんな中たったひとり、長谷部選手はすっと立ち上がり、表情も変えずにゴールキーパーの元へ歩み寄っていました。
その理由をこう語っています。

もちろん勝ちたいと願ってはいたけれど、身体のどこかで「入れられて負けたら仕方ない」と考えていたのかもしれない。


弱気な発言とも聞こえますが、それは違います。

最悪を想定するのは、「失敗するかもしれない」と弱気になるためではなく、何が起きてもそれを受け止める覚悟があるという「決心を固める」作業でもある。


悔しい時には悔しがるのは自然な行動のように思いますし、悪いことだとは思いません。しかし、起きてしまった事を受け入れ、次に向かってすぐに動き出す人物は必ず必要だと思うのです。

仕事においても、失敗があった場合にすぐに次の行動を起こせるか否かがその後の結果に大きく関わってくるのではないでしょうか。



【感想】

長谷部選手と比べるとおこがましいですが、私もどちらかといえば、前へ出るのではなく、裏で調整するタイプなので、参考になる点が多くありました。
とても地味な役割ですが、自分だけの成功ではなく、周りのメンバーの成功の手助け、組織の成功に導くことはこの上ない喜びにつながると思います。

どちらが絶対的に良い、悪いというのはないとは思いますが、価値観が多様化し、チーム単位で動くことが多い今のビジネスの現場においては、こういったリーダーの必要性が増してきているのではないでしょうか。
サッカーファンならずとも、ぜひご一読いただきたい一冊です。

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