• このエントリーをはてなブックマークに追加

シガー
My humidor and cigar setup is almost complete by markomni

72歳にして貯金は2ケタ万円。稼いだ金はことごとくシガー(葉巻)とシングルモルト(ウイスキー)に消えていく。

そんな島地勝彦氏の、滅茶苦茶なようで説得力のある持論、自慢話のようでためになる教訓が込められた一冊。
ビジネス書というよりも、どこか文学作品を読んでいるような印象を与えてくれる。
煙と酒の香りが漂ってきそうな、不思議な雰囲気のする書である。

迷ったら、二つとも買え! シマジ流 無駄遣いのススメ (朝日新書)


概要


「節約」「貯金」だけの人生でいいのか?思い切り無駄遣いして、センスを磨け。お金は使ってこそ、はじめて「武器」となるのだ。
人生の肥やしとなる無駄遣いは、自ら進んでするべきだ。無駄遣いの喜びと“知る悲しみ”を知ることで、センスは確実に磨かれる。
そして、センスよく使ったお金は、必ず何倍にもなって手元に戻ってくる。その繰り返しこそが、豊かな人生を築く礎となる。


著者略歴


島地勝彦。1941年生まれ。青山学院大学卒業後、集英社に入社。
『週刊プレイボーイ』の編集者を長く務め、柴田錬三郎、今東光、開高健を回答者に据えた「人生相談」で一世を風靡した。
82年同誌編集長に就任、同誌を100万部雑誌に育て上げた。集英社インターナショナル社長を経て、現在はエッセイスト&バーマン
著書に『甘い生活』『アカの他人の七光り』など。


目次


第1章 「無駄遣い」のススメ
第2章 「無駄遣い」はセンスを磨く
第3章 「無駄遣い」は教養を高める
第4章 「無駄遣い」は人脈を育む
第5章 「無駄遣い」は自分の身を助く
第6章 「無駄遣い」が出来るようになるための10の教え
第7章 浪費家列伝―ライオンは足跡を残す


ポイント


・良い無駄遣い、駄目な無駄遣い
駄目な無駄遣いとは、とにかく何でもかんでも、お金にものをいわせてポンポン買っていくこと。
モノに対して何の慈しみも持たず、人にみせびらかして虚栄心を満足させるために、ただひたすら金を使う。邪道で下品な無駄遣いだ。

大事なのは、慈しみを持ってモノと対峙することである。
そうすれば、そのモノが持っている時代背景、歴史などにも興味が湧いてくる。
そこまでくれば、無駄遣いも「文化への投資」にまで昇華される。


・島地勝彦流買い物哲学3つのポイント
1.美しいモノを見たら迷わず買え
モノとの出会いは、一期一会だ。
美しいモノと出会うチャンスはそうたくさんあるものではない。

2.どちらにするか迷ったら2つとも買え
どちらを買おうか迷っているうちに、いずれか一方をほかのハンターにさらわれるなんていう事になりかねない。

3.金がなかったら借金してでも買え
ただし、身の丈にあった借金にする。恋と同じで身の丈を超えると人生を壊すことになる。
一番安心できるのは、家計から拝借することだろう。


・浪費の果てに得たもの
教養と文化の香りを身につけることを通じて、自分自身のセンスを磨くことができた。
センスは瞬時にお金では買えないものだが、お金を出し続けなければ、身につかない。
浪費はセンスを磨くための荒砥であり、よりよき人生を送るための寒肥でもあるのだ。

(以上、書籍の内容を要約)


感想


無駄使いのススメと書いているが、決して「無駄」にはなっていないところがポイントだ。
島地氏はお金を湯水のごとく使い続け、その結果多大なるリターンを得ている。

ドラマ化もされた人気コミック「ソムリエ」は、実は島地氏が趣味で通い始めたワインスクール通いから生まれた。そしてシガーとシングルモルトを愛し続けた結果、「サロン・ド・シマジ」というセレクトショップまで作ってしまった。
金銭面の見返りはもちろん、お金では買えない教養や人脈といったものもかけがえのない財産だろう。そして人生を極限まで楽しんでいるのが伺える。

私自身の経験で言うと、島地氏とは比べ物にならないほどスケールは小さいが、食にはある程度浪費したのかもしれない。
「醸し人九平次」「獺祭」は日本酒のポテンシャルを、「ルビコン」「オーパスワン」はワインの歴史と文化の楽しみ方を、「祇園小石」「都路里」は抹茶の味わい深さを、「Pizzeria Azzurri」「SAKURAGUMI」はピザを食べる幸せを、「かが万」「菊乃井」は和食の底力を教えてくれた。

一度こういったものを味わってしまうと、これまで当たり前のように食べていたものが、物足りなくなってしまう。島地氏の言う「知る悲しみ」を味わうことになるのだ。
しかし「知る悲しみというのは、知らない悲しみに比べると、はるかに贅沢で上質な悲しみなのではないだろうか」という言葉には共感を覚えた。

本書を読んだ後、久しぶりに少し無駄遣いをしたくなってみた。
ちょうど新しいマグカップを探していたので、美しくて性能の良いものを探して購入した。


THERMOS 真空断熱マグ 0.22L ステンレスミラー JCS-220G SM

たかだか数千円の浪費だったが、長時間冷めることのない温かいコーヒーを飲む時間を手に入れる事ができた。

島地氏のように貯金額が2ケタ万円というのはさすがに御免だが、これからもささやかな浪費を楽しんでいきたいと思う。

無料メルマガ登録 - ブログ更新情報・おすすめ書籍をご案内

Related Article

  1. コメントはありません。

  1. トラックバックはありません。

Author


about Mharu
follow us in feedly

どんな本を読めばいいか分からないというあなたへ