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ソフトウェアの世界でキャリアを築く Making it Big in Software

今回ご紹介する書籍は「ソフトウェアの世界でキャリアを築く Making it Big in Software」です。

知人の@millionsmileさんが制作に携わっていた関係で、私もレビュアーとして少しですがご協力させていただきました

その名の通り、「ソフトウェアの世界でキャリアを築く」ためのノウハウが詰まった本で、
読者の対象は「すべての年齢、レベルのソフトウェア業界で働く人、新人から何十年ものベテラン向け」となっています。
「ターゲットが広い分、内容が薄いんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、網羅的でありながらもそれぞれのトピックについて著者の長年に渡る研究内容が盛り込まれており、読み応えがあります。


目次


第I部 基本原理
第1章 Making it Big
第2章 ソフトウェアの本当の価値
第3章 学校vs.会社
第4章 ミッションインポッシブル? ソフトウェア業界で仕事に就くには
第5章 ソフトウェア開発者として歩む、キャリアの最初の5年間
第6章 最も重要なスキルセット
第7章 楽しい科学その1:ソフトウェアR&D組織
第8章 キャリアを潰すもの

第II部 リーダーシップ
第9章 組織で働く
第10章 ソフトウェアプロジェクトの企画提案を実現させるには
第11章 昇進する
第12章 仕事における時間管理
第13章 ソフトウェア開発の遅延から逃れるには
第14章 ワークライフバランスの妙技
第15章 あなたの知らないソフトウェアプロジェクトマネジメント
第16章 一流になるために: 単なる「できる人」から真の「大物」になる

第III部 偉大なる存在
第17章 ソフトウェアイノベーションにおけるリーダーシップ
第18章 リーダーを超え、ビジョナリーになる
第19章 あのとき知っていたなら、今ごろどうなっていただろうか?
第20章 自分でソフトウェアベンチャーを起業する
第21章 報酬
第22章 Making it Big?


ソフトウェア業界の偉人達へのインタビュー


本書には、ソフトウェア業界の様々な人物のインタビューが掲載されているのですが、
Appleコンピューターの生みの親、スティーブ・ウォズニアック
Google初期メンバー20人目であり、副社長の経験も持つマリッサ・メイヤー
電子メールシステムの発明者、レイ・トムリンソン
Linuxの生みの親、リーナス・トーバルズ
インターネットの共同発明者、ロバート・カーン
など、それはもう豪華なメンバーです。

そのような大物達に、
・なぜこの業界に入ったのか
・成功を感じる瞬間は?
・最新のトレンドを追うためにどうしているか?
・ワークライフバランスどのように維持しているか?
・次の10年で、ソフトウェア業界はどのような変化があると思うか?
など、とても興味深い質問を投げかけています。

それぞれが独自の考え方を披露されているのですが、ひとつ感じたのは、このような偉業を成し遂げた方達が意外と現実的な考えを持っていたということ。
例えば、リーナス・トーバルズはこのように語っています

結局、「目標を高く掲げよ」だとか、「大きなアイデアを考えろ」とかいう話は、全くただの場当たり的でハッタリな言葉に思えるようになりました。
たった一回のジャンプで、高層ビルの上まで跳ね上がることはできません。一つひとつ階段のステップを歩んでいくものです。
何か面白いところに辿り着くまでに100階以上登り続けていたとしても、決してそれは苦になることはないでしょう。
遙かかなたの目標だけに目を向けていたら、足元の階段すら気づかず一歩すら踏み出すことができないのです。


当たり前かもしれませんが、成功の裏にはこういった小さな積み重ねがあるのですね。
他にも数々の大物たちの”金言”が満載です。エンジニアであれば、読んでおいて損はないと思います。


実践的ノウハウ


偉人達のインタビューも興味深いですが、本書には現場で役立つ実践的なノウハウも多く掲載されています。
そして、活用のイメージが湧きやすいように、SuperDuperTechという架空の会社の、ラリー、モー、カーリーという人物を例にとって、ストーリー仕立てで説明している部分もあります。

アメリカでの事例は日本には通用しない、と考える方もいるかもしれません。
私も最初はそういった考えを持ちながら読み進んでいたが、驚くほど共感できる部分、そして耳の痛い部分がありました。
文化は違えど、本質的な悩み、問題は同じようなものですね。
もちろん全てが活かせるとは限りませんが、参考になる部分は多くあると思います。

全体の内容を通して印象的だったのが、「人」とどう接するかに多くのページを費やしているということ。
ソフトウェア業界で働く以上、技術スキルは絶対に必要なのですが、コミュニケーションスキル等もとても重要だという事です。

ソフトウェアを作るのは「人」である、そしてそれは「チーム」で作られる。
当たり前ですが、忘れてしまいがちな点を改めて実感させられました。アメリカは個人主義の傾向が強いと思い込んでいたので、ちょっと意外でしたね。

・効果的なキャリアアップのための3つの法則
一にコミュニケーション、 二にコミュニケーション、 三にもコミュニケーションである。
どんな組織をみても、シニアポジションでコミュニケーションスキルに劣っている人はほとんどいない。
会話や文章、メールや電話、または技術レポートなどにおいて、明確かつ効果的な意思疎通ができることが重要である。

・部下には問題を与えよ。解決法を教えてはならない
リーダーが自分の洞察力と頭の良さを印象づけるために解決方法を力説したら、自分が活躍してチームに貢献したいメンバーのやる気を奪うことになる。
たまたまメンバー全員を合わせたよりもリーダーが優秀だったとしたら、リーダーの案で進めれば効率化はできるが、それはあるべき姿ではない。
優秀な部下を得たら、彼らに才能と創造性を自ら活かしてもらえるモデルをリーダーは考えるべきだ。

・デジタルコミュニケーションの罠
信頼は数々の成功の積み重ねの上に成り立ち、多くの人との係わり合いを通して築かれる。
それは、個人的に膝と膝を突き合わせながら行われる。電子メールではできないやり取りだ。
製品機能に関する新しいデザインやマーケティングの提案書など、自分の意見やアイデアに賛同を得たいこと、その説得を電子メールだけで行ったらどうなるか。
テキストメッセージには心もなければ魂もないので、当然、相手からの賛同は得られない。



「ソフトウェアの世界で」というタイトルがついていますが、ハードウェア業界だろうが、Web業界だろうが共通する部分は多々あると思います。
それらの業界で仕事をされている方、将来入りたいと思っている方にこの本は必ず役立つとおもいます。
よろしければご一読ください。


マインドマップ


ソフトウェアの世界で キャリアを築く.jpeg


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