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一昔前までは、一つの会社で定年まで勤めあげることが安定であり、たくさんモノを買って所有することが成功であるというわかりやすい方程式で人生は成り立っていた。
しかし、今やモノは溢れ、右肩上がりの経済成長は過去のものとなり、大企業でさえいつなくなってもおかしくないという状況に日本は置かれている。

年収やモノの所持ではなく、自分にとっての幸せな生き方とは何かというのを模索する時代になったのだ。
ポジティブにとらえれば、工夫次第で自分の生きたいような人生を歩むことができる面白い時代になったと言える。

定年まで働かなくてもいい、毎日同じ場所に通勤しなくてもいい、地位や大金は必要ない、私達は選択の自由を手に入れたのだ。
しかし、自由と同時に人々に不安と混乱をもたらしているのは間違い無い事実だ。

そんな私達にとって、これからの人生を歩む上で道標となり得るであろう資料として、ビジネス書を10冊紹介したいと思う。




常識からはみ出す生き方


幸せになる秘訣は、仕事を減らすことだと思われがちだ。
だが、別の考え方もある。
仕事を減らすという考えに見切りをつけて、
仕事をもっとすてきなものに変えてみてはどうだろう。


著者のクリス・ギレボーは常識からはみ出すどころか、大きく逸脱する人生を送っている。

20歳で社会に出た後、配送係として働くも嫌気がさしてコーヒーを売るネットビジネスを開始。
2002年から約4年にわたり西アフリカにボランティアとして滞在し、アフリカにいながらアメリカの顧客を相手にネットビジネスを始める。
2012年までに183の国を訪れており、旅をしながら本当にやりたいことを明らかにし、不安をなくし、自由に生きる人を増やす「常識からはみ出す生き方」を提唱している。

そんな彼の「常識からはみ出す生き方」の6つのルールはこれだ。

1.何かを成し遂げる道はひとつとはかぎらない
2.「豊かさ」と「不足」の二者択一を迫られたら、「豊かさ」を選べ
3.理屈抜きで信じることにためらっているなら、思い切って信じてみよう
4.頭の良さは必要条件ではない。必要なのは断固たる決意だ
5.無限の夢や目標は持ってもいい。だが、無限の優先事項をもっているわけではない
6.小さなことをきちんとこなせたなら、飛躍的な成長も夢ではない

働き方を見直すといってもどうしても世の中の常識や過去の経験に影響されて考えてしまいがちだ。
しかし、今までの常識が通じなくなってきている今、一度頭の中をリセットする必要がある。
本書はその手助けになるに違いない。




働かないひと。



「働かないひと」とは、無職の人という意味ではない。
本書に登場する10人の人物は「働いている感覚がない」というのである。

一般的な解釈として、仕事とは人生の時間を使って与えられた事をこなし、生きるためのお金を稼ぐという行為である。
しかし、本書の登場人物の考えは少し違う。

この本でインタビューに応えて頂いた10人にとっての仕事は、主体性に溢れ、他人を幸せにすると同時に自らの生を輝かせる、豊饒な営みとして、一人ひとりの人生と緊密に存在していた。


つまり、仕事=生きることそのもの、である。

特に印象的だったのは文筆家の伊勢華子氏の言葉だ。

お金がかかるとか、かからないとか、
何かを失うという気持ちはなくて。
それが、仕事だとか、夢だとか、好きなことだ、
というような境もない。


ホスト、アートディレクター、天文学者、文筆家など様々な肩書きを持つ方達が、どういう思いを持って今を生きているのか。
それは私達が生きるヒントを与えてくれるだろう。




ノマドライフ



著者の本田直之氏は、東京とハワイに拠点を置き、年の半分をハワイで過ごしている。
そして、ベンチャー企業への投資育成に携わり、執筆活動を行い、大学などで講義し、ワインの講座を持ち、トライアスロンやサーフィンといった趣味も謳歌しているのだ。

本田氏のような場所にとらわれないで仕事をする人達の事を「ノマドワーカー」と呼ぶが、本田氏は「ノマドとは単なる場所にとらわれない働き方ではない」と言う。

本田氏は「ノマドライフ」を下記のように定義している。

仕事と遊びの垣根のない、世界中どこでも収入を得られるノマドビジネスを構築し、2ヶ所以上を移動しながら、快適な場所で生活と仕事をすることで、クリエイティビティや効率性、思考の柔軟性が向上し、それがいいスパイラルになるライフスタイル。


もちろんテクニックであったりモバイル機器やクラウドなどのテクノロジーは重要だが、「そのワークスタイルを選ぶ目的というものをはっきりしなければならない」と本田氏は言う。

しかし目的があって環境も整っているとしても、すぐにノマドライフを歩めるかといえば、そんなに簡単なものではない。
実際、本田氏は今のような生活ができるまで実に15年もの歳月を費やしている。

昔と比べるとノマドワーク的な働き方の敷居は低くなったが、それでもいきなり生活を変えることは難しい。
まずは本書に書かれている本田氏の事例を元に、今自分がどのフェーズにいて、今何をすべきかをはっきりさせるることから始めてみるべきだろう。

第1フェーズ : ベースをつくる時期
第2フェーズ : 方向性を模索する時期
第3フェーズ : 未来につながる実績を残す時期
第4フェーズ : 転換期
第5フェーズ : 実践期
第6フェーズ : シェアの時期

本書を通じてノマドの先駆者本田直之氏からノウハウを学んでみよう。




ノマドワーカーという生き方



著書の立花岳志氏は17年間の会社勤めを経て、”プロ”のブロガーとして独立した。
ブログからの広告収入や、執筆活動・セミナーなどを通じて収益を得ている。

前述のクリスギレボーや本田直之氏と比べてみると、我々のような一般的な会社員に近い存在だと言えるだろう。
そんな彼の著書は、より現実感のある事例として感じることが出来る。

立花岳志氏が重要視しているのは「情報発信」だ。
彼が運営しているブログ「No Second Life」は1ヶ月に160万ものページビューを誇る人気サイトであるが、そこではITツールの紹介や書評などの情報を始め、立花氏が朝何を食べどこを走り誰と会ったか等の活動記録が記載されている。

一見個人的な活動記録は読者にとって不要に思えるかもしれない。
だが、これが重要な役割を果たしているのだ。

軸は「自分」ではなく「情報」に。
その中に自分らしさを。


あくまで情報は軸だが、単なる役立つ情報を発信するだけでは、運営者自身にはそれほど興味を持たれないだろう。
そこに自分らしさを織り交ぜることで、運営者のファンが出来上がり、訪問者も増えていく。

そして立花氏はネット上だけでなく、リアルの場でもブログ読者と交流をしている。
これからの時代、個人が情報発信することがますます重要になるだろうが、情報プラス自分らしさ、そしてリアルな交流。
これが大切だというのは間違いなさそうだ。

本書の詳細な内容については、下記の書評記事も参照していただきたい。
【場所を選ばず雇われないで働く人の生活と習慣】ノマドワーカーという生き方 – 立花岳志




自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと



著者の四角大輔氏は、レコード会社のアーティストプロデューサーとして7度のミリオンセールス、CD売上累計2千万枚という輝かしい実績を持つ。
現在は、ニュージーランドの湖畔と東京に拠点を持ち、悠々自適なノマドライフを満喫している。
自分の思い描いた理想のライフスタイルを、四角氏は「徹底的に捨てる」ことで実現させた。

人付き合い、出世、プライド、流行、地位・・・ほとんど捨てる作業の連続だった。
そんなに捨てて、不安にならないの?と何度言われたかわからない。
だけど大丈夫。捨てて後悔したものはほとんどない。
人は、本当に大切なモノは絶対に捨てない。
すべてを捨てたつもりでも残るモノがある。
それを一番大切にして生きるべきなんだ。


様々なモノを捨てて、ニュージーランドの大自然の中での生活を手に入れた四角氏だが、今の年収はプロデューサー時代よりはるかに少ない。
成功を金銭だけのものさしで測るのであれば、この選択は失敗だと言えるだろう。
だが、お分かりの通り、人の幸せは金銭だけで決められるものではない。

本書は20代の若者だけでなく、モノを背負いすぎて身動きが取れなくなっている現代人全般に参考になるだろう。




フリーエージェント社会の到来


21世紀前半のアメリカを象徴する人物像は、フリーエージェント-すなわち、決められたひとりの上司の下で働くのではなく、大きな組織のくびきを離れて、複数の顧客を相手に、自分にとって望ましい条件で独立して働く人たちである。


ダニエル・ピンク氏はアル・ゴア元アメリカ副大統領の首席スピーチライターとして働いた後、フリーエージェントとして活躍し、著書や論文は世界中で人気となっている。

タイトルからして最近書かれた本のように思われがちだが、なんと原著が出版されたのは2001年の事だ。
本書によると、組織に雇われずに働いている人口はアメリカだけで3300万人もいる。総労働人口の実に4分の1を占めるのだ。

この事からも少なくともアメリカにおいては、フリーエージェントが一部の特別な人達だけの働き方ではないという事が分かる。
そして今後、この人口はますます増えていくだろう。
現代において1つの会社に自分の人生のすべてを捧げることはリスクがつきまとう、そして企業にとっても終身雇用で社員を雇うことはリスクを抱えるからだ。

だが、働き方を変えるには大きな不安がつきまとう。
本書では膨大な時間を費やした調査をもとに、マクロとミクロ両方の視点から、フリーエージェントとして生き抜くための考え方、ノウハウ、実践例を紹介している。
独立を考えている方にとっては必須の書だが、たとえ興味がなかったとしても、こういう風に働いている方がいるという事だけでも知って頂きたいと思う。




だから、僕らはこの働き方を選んだ



「東京R不動産」というちょっと変わった不動産物件サイトをご存知だろうか。
「不動産のセレクトショップ」というコンセプトで、独自の視点で味のある物件を紹介しているサイトだ。

著者である3人のコアメンバーは、博報堂やマッキンゼーといった大企業での地位を捨てて起業した。
自分たちがやりたい事ができる働き方を模索して。

東京R不動産が掲げる理想の働き方のポイントは以下の4点だ。

1.やりたい仕事をすること
2.ちゃんとお金を稼ぐこと
3.社会を豊かにすること
4.楽しい仲間と働くこと

確かにこれが全部実現すれば楽しいに違いないが、多くの企業はこれができているとは言えない。

会社という組織で働いていると、さまざまなしがらみから個人の自由はなくなってくる。
しかしそれが嫌で独立すると、自由は手に入るが稼ぐのが難しかったり、大きな仕事ができず結局自分のやりたい事ができなくなってしまう。

その課題の解決策として、東京R不動産が考えたのが「フリーエージェント・スタイル」という働き方だ。
先に紹介した「フリーエージェント社会の到来」で紹介されている言葉だが、完全に独立している訳ではない。

継続的に社員のように会社に深く関わりながら、働き方の自由や他の仕事をつくる自由もある。
同じ目的を持った組織に属しながらも、収入は個人の成績に応じて決まってくる。

個人の自己実現と組織の成功を同時に求めていく、いわば「会社と個人の良いとこどり」のワークスタイルなのである。

現在のところ、この形は一般的でないかもしれない。
だが彼らのような働き方に希望と期待を抱いているのは私だけではないはずだ。
今後の動向にも注目していきたい。




WORK SHIFT



2025年、私たちはどんな風に働いているだろうか?

英タイムズ紙の選ぶ「世界のトップビジネス思想家15人」のひとりであり、ファイナンシャルタイムズ紙では「今後10年で未来に最もインパクトを与えるビジネス理論家」と賞され、英エコノミスト誌の「仕事の未来を予測する識者トップ200人」に名を連ねるリンダ・グラットンが大胆かつ的確に予測する。

ではなにが働き方の未来を変えるのか?それには5つの要因がある。

要因1 テクノロジーの進化
人とのつながりが薄くなり孤独を味わう暗い影響を生み出す半面、ソーシャルネットワークを用いた協創を作り出す要因ともなる。

要因2 グローバル化の進展
優秀な人材が世界を舞台に活躍できるようになるという好ましい影響が生まれる半面、競争が激化し、人々がますます慌ただしく時間に追われるようになるという負の影響も生まれる。

要因3 人口構成の変化と長寿化
人々が健康で長生きするようになり、八十歳代になっても生産的な活動に携わり続ける人が増える。
しかし、老後の蓄えが十分でなく、生活の糧を得るために働き口を探さなくてはならない人も増える。

要因4 社会の変化
企業や政府に対する信頼が弱まり、人々の幸福感は減退していく。
暗い要素を含んでいるが、一人ひとりの行動と選択で結果が変わる余地が最も大きい要因でもある。

要因5 エネルギー・環境問題の深刻化
エネルギー価格が上昇、環境問題が原因で住居を追われる人が現れるようになる。
エネルギー効率の高いライフスタイルが広まり、贅沢な消費に歯止めがかかる。

このような要因から私達は働き方を「シフト」しなければならない。

第一のシフト ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ
その他大勢から自分を差別化するには、時間と労力を費やして専門分野の知識と技能を高める必要がある。
ただし、特定の一つの分野だけで専門知識と技能をはぐくむことには危険が伴う。
そのため、いくつかの専門技能を連続的に習得して行かなければならない。

第二のシフト 孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ
生活に喜びを与えてくれる深い人間関係、様々なタイプの情報や発想と触れることを可能にする広く浅い人間関係などを意識的に構築する必要がある。
そして、高度な専門知識と技能を持つ人達と一緒に価値を生み出して行く時代となる。

第三のシフト 大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ
「豊かさ」や「贅沢」という言葉より、「幸せ」や「再生」という言葉が職業生活の質を評価する基準として用いられるようになる。
そういう時代には、再現ない消費に終始する生活を脱却し、情熱をもってなにかを生み出す生活に転換する必要がある。

この3つのシフトは2025年以降の話ではない、もうすでに起き始めていることなのだ。
今起きている変化を把握するために、一刻も早くこの本を読むことを強くおすすめしたい。




週4時間だけ働く。



著者のティモシー・フェリスは、Fast Company誌の「2007年のもっとも革新的なビジネスパーソン」にノミネートされ、著書は35カ国で翻訳され、100以上のメディアに出演している。
彼が提唱するのは、9時-5時労働から脱却し、世界中の好きな場所に住み、自由に働く生き方だ。

週4時間だけ働くという言葉を聞いて、胡散臭い印象を受けた方もいるかもしれない。
「そんな生活を送るには、類まれなる才能、途方もない努力、十分な資金が必要なんじゃないの?」
そう思ったのなら、まずは考えを変える必要がある。

ポイントは「大金がなくても、億万長者のような完全に自由なライフスタイルを手に入れられる」という事だ。
大金を所持することは自由な生活を手に入れるための必須条件ではない。

キーワードは、定義(Definition)、捨てる(Elimination)、自動化(Automation)、解放(Liberation)の頭文字を取って「DEAL」。
すなわち、新しい競争に備えてルールと目標を導入し、時間管理に関する誤った思い込みを捨て、収益を自動化し、ひとつの場所から解放するという事だ。

このキーワードを軸に、考え方、具体的なテクニック、事例などが細かに書かれているのが本書である。
思い込みを捨てて真っさらな気持ちで読むことができれば、大きな気付きを得ることが出来るだろう。




働き方


「働く」ということは
試練を克服し、運命を好転させてくれる、
まさに「万病に効く薬」である


京セラの創業者稲盛和夫氏が、自らの経験をもとに「なぜ働くのか」を説く。

生きるためにしかたなく働く。できれば楽に働ければ良い。仕事は減らして趣味に没頭したい。
現代社会において、このような考えを持っている方は少なからずいるのではないだろうか。

そんな方へ向けて、稲森氏は伝えたいと言う。

働くことの意義を理解し、一生懸命に働くことで、「幸福な人生」を送ることができることを。


本書は稲森氏が全身全霊を込めて仕事へ取り組んできた経験が描かれている。
会社に泊まりこんで猛烈に働いたりといった泥臭い内容も多い。
寝食を忘れて仕事に没頭する様は、今の若者にとっては拒否反応があるだろう。

だが、そこには紛れも無い「幸福」があったのだ。

ノマドやフリーエージェントなど、「どうやって働くか」(How)の前に、「なぜ働くか」(WHY)を考える必要があるのではないか。
なぜの部分が抜け落ちていると、単に楽をしたいからとか、仕事は嫌だからといったネガティブな理由で働き方を選ぶことになる。それでは成功を引き寄せることは難しいだろう。
そういった意味では、どれよりもまず最初にこの本を読む必要があるのかもしれない。







働き方に正解はない。
ノマドライフを全員望んでいるかといえばそうではないし、9時-5時労働が間違っているなんてことはない。
それぞれが自分がやりたい事を積極的に見つけ出し、望む働き方を手に入れられれば幸せだからだ。

今、時代は大きく動き出している。働き方を選べる時代になりつつある。
未来を正確に「予言」することはできないが、数ある事象の中から「予測」をし、戦略を練ることは可能だ。
今回の記事が将来の働き方に不安を抱いてる方々にとって、なんらかの参考になれば幸いだと思う。


最後に、ワーク・シフトの著者、リンダ・グラットンの言葉を皆様、そして私自身に贈りたい。

「漠然と迎える未来」には孤独で貧困な人生が待ち受け、
「主体的に築く未来」には自由で創造的な人生がある

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